フーコーから見るラジオ体操の闇

まずはフランスの哲学者ミシェル・フーコーの『牢獄の誕生』の中の兵士の造形に触れたいと思います。 『十八世紀後半になると、兵士は造型されるものとなった。まるでパスタを練り上げるように、兵役不適格な身体を材料に必要な機械が造り出されたのである』…

仕事の意味

アルベール・カミュの『シーシュポスの神話』 ギリシア神話に登場するシーシュポスは、神からの罰でタルタロスで巨大な岩を山頂まで運ばされる。あと少しで山頂に達すると岩はその重みで底まで転がり落ちてしまう。シーシュポスはまた一から同じ作業を繰り返…

努力信仰

努力信仰が日本の精神に蔓延るようになったのは明治時代です。 明治政府を作ったのは薩長出身の武士たちで、彼らは都会の江戸っ子に負けてはならない、欧米に負けてはならない、その焦燥感、その圧力よって努力信仰が生じてきました。 江戸時代は努力信仰が…

マックス・ヴェーバーからみる金儲け

お金持ちになるのは、金銭欲の強い、お金に執着する人であるとは限らない、むしろ、お金への執着を離れ、ストイックに働いた人がお金持ちなったのだと、社会学の祖マックス・ヴェーバーは言います。 ヴェーバーは、キリスト教における、カトリックとプロテス…

ホッブズと対立するルソー

イギリス哲学者のトマス・ホッブズは、人間は支配者(国家)が存在しないと感情がむき出しになり、利己的な争い状態になる、これを自然状態とした。だからこそ、人間は支配者や(国家)を作り従うことで安全に暮らせると考えた。 ホッブズが社会契約説で書い…

ローマの共和政・ギリシアの民主政なぜ?

ローマもギリシアも小さな都市国家から始まり、ローマ人もギリシア人も部族集団であり、それほど差異はありませんでした。なぜ、ギリシアは民主政に向かい、ローマは共和政に向かったのか。 ローマでは「公」が重視され、ローマ人の部族集団では富裕層が貴族…

マルクス・アウレリウスってどんな人

ハドリアヌス帝はアントニヌス・ピウスを後継者に指名する条件として、マルクス・アンニウス・ウェルスとルキウス・ウェルスの二人をアントニヌスの養子にするのと、二人の権利も同等とすることとしたのです『マルクス・アンニウス・ウェルスは後のマルクス…

理性主義と経験主義

人間の認識には「理性主義」と「経験主義」と対立しあう二つの立場がありました。理性主義は、産まれた時からそなわっている、標準装備されている観念があることを言います。 観念は機能と考えるとわかりやすいです。 私たちの持っている観念は、大部分が見…

饗宴のディオティマってどんな人

人は何のために生きるのか。人は幸福のために生きるのだろうか。古代の哲学においては、幸福に生きるかどうかは選択の問題ではなかった。 人間が幸福に生きることは、人間が生まれながらにして持っている願望である。したがって、そこは問題ではない。問題は…

奴隷出身の哲学者エピクテトスとは

エピクテトスとは、古代ギリシャのストア派の奴隷出身の哲学者である。エピクテトスは、学者でもエリートでもない、奴隷としての出目、慢性的な肢体不自由といった多くの困難を抱えていた、解放奴隷出身の哲学者とは哲学史上でも珍しい人物である。 エピクテ…

セネカってどんな人

セネカはスペインの南部コルドゥバの裕福な騎士階級に生まれた。幼くしてローマに渡り、そこで当時の裕福な弟子と同様に政界に入るべく弁論の技術を学び、ストア派哲学者のアッタロスなどの哲学者にも教えを受けていた。 その頃の学習がセネカの美しい文章の…

エピクロスってどんな人

エピクロスは、古代ギリシャの哲学者でアカデメイアで哲学を学び、アテナイ市に哲学の学園を作り仲間たちと共同生活を送っていた。 古代ギリシャでは、奴隷民と自由民(市民)と厳密に分かれており、市民は自由民と呼ばれた人たちだけを指したが、エピクロス…

ストア派の倫理学とは

ストア派の倫理学はディオゲネスが唱えた「自然に従って生きよ」である。 自然に従って生きるとはどういうことなのか、これについてストア派は、人間の心の中で、何が善いとか悪いとか判断する理性を正しく働かせているのが最適の状態で、この状態のことを「…

カール・ハインリヒ・マルクスと唯物史観と資本論

マルクスはヘーゲルの「絶対精神」を「生産力」と置き換えた。社会は絶対精神を実現するために進化を続けていくと、ヘーゲルは考えた。マルクスは、社会が進化するというヘーゲルの考え方を強く支持しました。 マルクスは具体的に何が進歩の原動力になるのか…

ショーペンハウアーから見るヘーゲルの絶対精神

ヘーゲルに対して、その歴史観を正面から批判した18歳年下の哲学者がいました、それが、アルトゥール・ショーペンハウアーです。 ヘーゲルは「絶対精神を手に入れて自由になるプロセスが歴史である」と語っているが「そんなすんなりと歴史が進歩してきたこと…

イマヌエル・カントの感性と悟性ってなに

人間の認識方法は感性と悟性のふたつで完成されるとカントは考えた。 感性とは、外界の刺激に応じて、何らかの印象を受け取る認識能力で、感覚と考えてもいいです。悟性とは、感性と共同して認識を行う能力で、その認識には感性と違って、理性は判断力が伴い…

ルターとローマ教会とプロテスタント

ローマ教会のシンボルでもある、サン・ピエトロ大聖堂の改築工事が資金不足で進まなくなり、ローマ教皇のレオ10世がドイツで贖宥状を売り出すことにした。(贖宥状とは、これを所有していれば、犯した罪の償いを軽減されるという、万能な赦免状のようなもの…

イスラム教とは

イスラム教は、ユダヤ教とキリスト教と同じYHWE(ヤハウェ)を唯一神とする宗教です。そしてその唯一神をアッラーという。最後の審判で救われた善人は天国へ、悪人は地獄にいくという教えです。 イスラム教の聖書は、コーランで、原義は「詠唱すべきもの」の…

孟子の性善説・荀子の性悪説を簡単に言うと

性善説とは、人間はもともと立派な本性を持っているのだから、きちんと教育すればみんな主体的に努力するようになるという考え方、一方の性悪説は、人間はもともとそれほど賢くない存在なので、自分から学ぼうとしない、だから、社会システムや制度を使って…

バラモン教とは

インドの宗教は、アーリア人の宗教であるバラモン教が中心だった。この宗教は、人々を4つの階層に分けた。いわゆるカースト制である。最上位をバラモンという。 高度成長によって豊かな人々が増加してくると、司祭者階級よりも商人や農民などの(有産階級)…

善悪二元論

ゾロアスター教の最高神はアフラ・マズダーで、彼が世界を創造したと言われている。世界には善い神のグループと悪い神のグループが存在し、いつも争っているとゾロアスター教は教えます。 苦しい日々が続くのは悪い神のアンラ・マンユが優勢な時で、楽しい日…

人間の環世界

ヤーコプ・フォン・ユクスキュルは人間の環世界についても論じている。 素人にとって石はただの石ころである。しかし鉱物学者は何の価値もなさそうな石ころを熱心に眺め、分類する。同じ石でもまったく見え方が違う。なぜなら鉱物学者は鉱物学者の環世界を生…

マダニの環世界

理論生物学者のヤーコプ・フォン・ユクスキュルは、私たちは普段、自分たちをも含めたあらゆる生物が同じ時間と同じ空間を生きていると考えている。ユクスキュルはそこを疑った。 全ての生物がその中に置かれているような単一な世界など存在しない。全ての生…

清貧の思想とはミニマリストなのか

現在(消費社会は)物が溢れ過剰であると言われているが、これは全くの間違いであると、フランスの哲学者で思想家のジャン・ボードリヤールは言っている。 消費社会では物がありすぎるのではなくて、物が無さすぎるのだ。なぜかと言えば、商品が消費者の必要…

本当の豊かさとは?

人類学者のマーシャル・サーリンズが論証しているが、狩猟採集民族はほとんど物を持たない。道具は貸し借りするし、計画的に食料を貯蔵したり、生産したりもしない。無くなったら採りに行く、無計画な生活である。 なので、彼らはしばしば、物を持たないから…

顧客データやマーケティング必要なDWH CDP DMP

DWH.CDP.DMP いずれもデータを集めて管理するためのプラットフォーム それぞれ目的が異なっており、機能にもそれぞれ違いがあるのでまとめてみた。 DWH→データを効率的に収集できる。時系列順に並べたり、データの変更も把握も可能。膨大なデータを適切に管…

中国の不動産大手 恒大集団って、倒産?

恒大集団は、中国の大手不動産会社、プロサッカークラブの「広州足球倶楽部」をアリババと共同運営している。 【決算を見てみよう】 21年6月末では、短期間で返済する金額→流動負債が26.7兆円。 すぐに現金化できる金額→現金と売上債権の合計4.5兆円。 負債…

半導体・キオクシア

2019年10月1日、東芝メモリから社名変更して、キオクシアに、『記録する』技術を提供してきた半導体メーカー。 NAND型フラッシュメモリや、3次元フラッシュメモリなどの開発で業界をリードしてきた歴史がある。 1987年、NAND型フラッシュメモリが開発。 2007…