イスラム教とは
イスラム教は、ユダヤ教とキリスト教と同じYHWE(ヤハウェ)を唯一神とする宗教です。そしてその唯一神をアッラーという。最後の審判で救われた善人は天国へ、悪人は地獄にいくという教えです。
イスラム教の聖書は、コーランで、原義は「詠唱すべきもの」の意味で、コーランには、ムハンマドが神から託された言葉が書かれています。イスラム教におけるムハンマドの立場は、最後の預言者です。イエスやブッダは出家者だが、ムハンマドは商人であり市長であり軍人でもあった。
イスラム教の大きな特徴は、キリスト教や仏教のような専従者がいないことです。すなわち、教会や寺院を経営して、布教や冠婚葬祭を専門とする聖職者が存在しないのです。なので、八百屋の主人が聖職を兼業していて、必要なときは法衣を着てコーランを読み、儀式を進行させるのです。ですから、イスラム教では、聖職者の生活のために寄付をする必要がありません。
イスラム教の信仰の中心は「六信五行」と呼ばれる戒律です。
六信は、神・天使・啓典・預言者・来世・定命を信じることです。
- 神は、YHWHのアッラー
- 天使は、ムハンマドに神の予言を託したガブリエル
- 啓典は、神の予言を記したコーラン
- 預言者は、ムハンマド
- 来世は、天国と地獄の存在を信じること
- 定命は、人が救われるか滅びるかは、あらかじめ神が決めているという考え、だから、神の決定を信じて生きることを指す
この6つを信じることが信仰になり、信者に求められます。
それに加え、5つの行を実践することが求められます。信仰告白・礼拝・喜捨・断食・巡礼の五行です。
- 信仰告白は、入信の儀式での信仰告白「アッラーが唯一神で、ムハンマドが預言者です」ということ
- 礼拝は、一日に5回、マッカ(メッカ)のカアバ宮殿がある方向に向かって礼拝をする
- 喜捨は、お金がある信者は貧しい人に恵みなさい、という教えです
- 断食は(ラマダン)イスラムの暦の9月に断食すること
- 巡礼は、一生のうちに一度は、ムハンマドの誕生した聖地であるマッカの、カアバ宮殿に巡礼しなさい、という教えです
イスラム教は今日でも徹底して、偶像崇拝をさけています。ムハンマドを描くことは、厳禁されています。古来から、ムハンマドの伝記をかいた絵物語でも、彼の顔には白い布をかけたりして、顔を見せてはいけません。
それでは、ムスリム(イスラム教を信仰している人々)は何を祈りの対象としているか、マッカにあるカアバ神殿の方向をキブラと呼び、その方向に向かって礼拝します。モスクでは、マッカの方向の壁面をアーチ型にくりぬいて、祈る方向を示しています。
ムハンマドがマディーナにいるときは、エルサレムの方向に向かって礼拝していました。エルサレムはムハンマドが、天に昇る体験をした場所だからです。
ムハンマドがマッカのカアバ神殿が存在する方向を礼拝するよう定ました、その後、キブラに向かって世界中のムスリムが祈り、今日に至っています。