本当の豊かさとは?

人類学者のマーシャル・サーリンズが論証しているが、狩猟採集民族はほとんど物を持たない。道具は貸し借りするし、計画的に食料を貯蔵したり、生産したりもしない。無くなったら採りに行く、無計画な生活である。

 

なので、彼らはしばしば、物を持たないから困窮していると言われる。つまり、計画的に貯蔵したり、生産したりする知恵がないために十分に物を持っていないとして見られている。

 

しかし、これは実情から著しくかけ離れている。狩猟採集民族は何にも持たないから貧乏ではなく、むしろそれ故に自由である。限られた物的所有物のおかげで、彼らは日々の必需品に関する心配からまったく免れており、生活を享受している。

 

彼らが貯蓄等の計画を知らないのは、知恵がないからではない。彼らのような生活では、単に未来を思い煩う必要がないのだ。

 

狩猟採集生活においては少ない労力で多くの物が手に入る。彼らは何らの経済的計画もせず、貯蓄もせず、すべてを一度に使い切る大変な浪費家である。