善悪二元論

ゾロアスター教最高神アフラ・マズダーで、彼が世界を創造したと言われている。世界には善い神のグループと悪い神のグループが存在し、いつも争っているとゾロアスター教は教えます。

 

苦しい日々が続くのは悪い神のアンラ・マンユが優勢な時で、楽しい日々が続くのは善い神のスプンタ・マンユが優勢な時とされている。やがて、善悪の神の争いが終わると、最高神アフラ・マズダーが行う最後の審判によって、生者も死者も含めて全人類の善悪が選別され、悪人は地獄に落ち、善人は永遠の命を授けられ天国で生きる日が来る、ザラスシュトラツァラトゥストラ)は説いた。

 

このようにザラスシュトラツァラトゥストラ)は時間を直線的にとらえ、善悪二元論を展開した。宗教の世界における善悪二元論は、この世を説明するときに強い説得力をもつ。

 

仮に、この世を一人の正義の神がつくったとすると、正義が世界中にあふれていることになり、悪い殺人鬼も存在しない理屈になる。清く正しく生きていれば、誰もが幸福になれるはずです。一神教を信じる人間は、現世に生きる苦しみをどのように考えればいいのか。

 

一神教が持つ矛盾(全能の神がなぜ現世の苦しみを解決できないのか)が、人間の思考を深くするという側面があるのかもしれない。その証拠に、アウグスティヌスをはじめとする後世の哲学者がこの問題に真剣に取り組んでいる。

 

しかし、宗教の教義という点から考えれば、善悪二元論は現世で生きる苦しみと来世との関係を、時間軸を挿入すりことでわかりやすく説明できるのだ。