清貧の思想とはミニマリストなのか

現在(消費社会は)物が溢れ過剰であると言われているが、これは全くの間違いであると、フランスの哲学者で思想家のジャン・ボードリヤールは言っている。

 

消費社会では物がありすぎるのではなくて、物が無さすぎるのだ。なぜかと言えば、商品が消費者の必要によってではなくて、生産者の事情で生産されるからである。生産者が売りたいと思う物しか、市場に出回らないのである。消費社会とは、物が溢れる社会ではなく、物が足りない社会なのだ。

 

消費社会は、消費者が消費し続ける仕向ける。消費社会は私たちを浪費ではなく消費へ駆り立てている。消費社会は、私たちに浪費されては困るのだ。なぜなら浪費は満足をもたらしてしまうからだ。

 

消費社会とは、我々が浪費するのを妨げる社会である。消費社会において、私たちはある意味でがまんさせられている。しかも消費と浪費の区別もなかなか思いつかない。浪費するつもりが、いつの間にか消費のサイクルの中に閉じ込められてしまう。

 

この消費社会に対する批判は、慎ましい質素な生活を推奨する、日本でもかつて「清貧の思想」というのが流行ったがまさにこれだ。今でいうミニマリストもそれにあたるだろうか。