ホッブズと対立するルソー

イギリス哲学者のトマス・ホッブズは、人間は支配者(国家)が存在しないと感情がむき出しになり、利己的な争い状態になる、これを自然状態とした。だからこそ、人間は支配者や(国家)を作り従うことで安全に暮らせると考えた。

 

ホッブズが社会契約説で書いているのは、人間が(自然状態)で争わないようにするためには、国家を作りそれに従うことが自己の安全保障になるという思想なのです。

 

これに対しフランスの哲学者ジャン・ジャック・ルソーホッブズに反論することになる。

 

ルソーは、人間にはもともと憐れみの情が備わっており、文明や国家がない状態では寧ろ助け合いながら生きるのだという。ホッブズのいう自然状態では、争いなど起こらず平和的に生きるはずだと考えたのです。

 

ホッブズが自然状態を各人が自己保存のために権利を振りかざして争う状態と捉え、これを「万人の万人に対する闘争」としたのに対し、ルソーは自然状態を自己愛と憐憫に満ちた幸せの状態と考えたのです。

 

民衆は支配者(国家)がいなくても生きていけるが、支配者(国家)は民衆がいなければ生きていけないのだから、民衆と王どちらが真の権力者なのかは明らかであると、「真の権力者は王ではなく、民衆である」と人民主権を世の中に向かって叫んだのが、フランスの哲学者ジャン・ジャック・ルソーである。

 

ルソーの人民主権は、今まで不当に扱われてきた民衆の心に火をつけフランス革命にも影響を及ぼしたのだろう。